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Pictogram Art ShakeOut drills

ピクトグラムアートシェイクアウト訓練

リスク対策.com様の連載・コラムに「防災とピクトグラム」のタイトルで掲載されました。
第24回「ピクトグラムアートシェイクアウト訓練」に掲載されています。

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東日本大震災により亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

東日本大震災では、最大震度7の強い揺れと国内観測史上最大の津波を伴い、東北・関東地方を中心とする広い範囲に甚大な被害をもたらしました。これほど大きな被害を出した災害も、しばらく経つと次第に忘れ去られてしまいます。

新たな気付き
東日本大震災の津波では、防災無線や避難を呼びかける声が聞こえない聴覚障害者、耳が遠い高齢者、日本語が分からない外国人などが逃げ遅れたという話を聞きました。その後、読字障害(ディスレクシア)、軽度の知的障害者、視力の弱い高齢者、子ども、地震を経験したことがない外国人など、さまざまな理由から情報の利用に困難を抱える情報弱者(災害弱者)の問題があることに気が付きました。

地震から身を守る! 逃げ遅れゼロを目指します!
日本は地震大国なので、いつどこで大きな地震が起きてもおかしくありません。
「自分の身は自分で守る」意識があれば、最小限の被害で済む場合があります。
地震が発生したら、まずテーブルや机などの下に隠れるなどの身の安全を図る行動を広めたいと思いました。
そして、障害の有無にかかわらず、世界中のすべての人たちに確かな情報を伝えることができる強力なユニバーサルデザインが必要だと感じました。
私たちに何ができるかを考え、災害情報としてピクトグラムアートで「ピクトグラムアートシェイクアウト訓練の静止画と動画」を制作しました。

ピクトグラム(図の左3点)

シェイクアウト訓練は、「まず低く」「頭を守り」「動かない」3つの安全行動をピクトグラムにしています。
地震を経験したことがない外国人などの初めて見る方は、「まず低く」「頭を守り」「動かない」と分れている3つの安全行動のピクトグラムから「テーブルの下に隠れる」ことを連想しないでしょう。

大事なことなので何度も繰り返していますが、ピクトグラムを含めた視覚記号のデメリットは、イメージでしか意思疎通が図れないことです。
非常口やトイレなど大まかな場所を伝えるには適しています。しかし、注意など危険が及ぶものは、文字や音声などで欠点を補う必要があります。
「まず低く」「頭を守り」「動かない」と「文字=日本語」でピクトグラムの欠点を補っているようですが、皆さん疑問を持ちませんか?
ちなみに、英語だと「DROP!」「COVER!」「HOLD ON!」になります。

それでは批判的なコメントや不安をあおるだけで代替案をまったく出せない評論家のような考えでは存在価値がないので代替案を発表します。
まず、ピクトグラムアートシェイクアウト訓練(静止画)になります。
シェイクアウト訓練の文字情報=日本語または英語「まず低く(DROP!)」「頭を守り(COVER!)」「動かない(HOLD ON!)」の指示が的確ではないので、ピクトグラムアートシェイクアウト訓練(静止画)では、日本語の指示「地震だ!テーブルの下に隠れろ!」と、英語の指示「It’s an earthquake! Hide under the table!」の両方で指示します。そして、「テーブルの下に隠れる」一連の動作をピクトグラムアートの静止画で表現しました。

ピクトグラムアート(図の右3点)

次に、ピクトグラムアートシェイクアウト訓練(動画)になります。
前述の静止画「テーブルの下に隠れる」一連の動作をピクトグラムアートの動画で表現しました。
補助的に日本語(漢字にはふりがな)と英語の文字情報を視覚に訴えるだけでなく、音声や警報音も入れて聴覚にも訴えているので緊迫感を出すことができます。
特徴は、地震の音を「ガタガタ…」にしないで、あえて異音にすることによって、周囲にいる人を引きつける効果があります。
緊急地震速報の専用ブザー音の後に、日本語で「地震です」と英語で「Earthquake」を交互に音声ガイダンスが流れます。YouTube動画再生時間は46秒です。
実は、この作品だけ英語の音声を入れました。これがピクトグラムアートの完成形になります。

視覚障害者や子ども、外国人にも伝わるユニバーサルデザイン

これによって、聴覚障害者や耳が遠い高齢者、読字障害(ディスレクシア)、軽度の知的障害者、視覚障害者や目の見づらくなった高齢者、漢字が苦手な子ども、地震を経験したことがない外国人など、世界中のすべての人たちに確かな情報を伝えることができる強力なユニバーサルデザインになりました。
盲ろう者(視覚と聴覚の両方に障害を併せ持つ人)や一部の障害者以外は、ほぼすべての人に情報が伝わることに気が付きました。

視覚障害者とは反対に、聴覚障害者は視覚からの情報に頼らないといけないので、ピクトグラムアートは大変有効です。
実は東日本大震災のときに、聴覚障害のある仲間から「防災無線が聞こえなくて逃げ遅れた」という話を聞き、ピクトグラムを2つ以上並べた静止画や動画にすることで、聴覚障害者に情報が伝えられるのではないかと考えました。
それを「ピクトグラムアート」と名付け、本格的に制作に取り組んでいます。
詳しくは、「ピクトグラムアート誕生秘話」をご覧ください。

ピクトグラムアートシェイクアウト訓練の使い方

「ピクトグラムアートシェイクアウト訓練」後に「津波避難の呼びかけ」の「津波注意報」「津波警報」「大津波警報」の作品と併せて、地震災害訓練用、緊急地震速報だけでなく、例えば、日本、インドネシア、チリなどの地震が多い国(地震の被害が大きい国)に行く各空港ターミナルのデジタルサイネージ、飛行機内シートモニターにおいて、ピクトグラムアートシェイクアウト訓練の動画を流していただくことを想定しています。

Google Playピクトグラムアートアプリを開発

Google Playピクトグラムアートシェイクアウト訓練アプリを開発しました。
シェイクアウト訓練の「まず低く」「頭を守り」「動かない」3つの安全行動をピクトグラムアートの動画を見ることによって、地震に備えるための防災・減災アプリです。アプリは無料でご利用いただけます。